赤字決算・税金滞納でも諦めないで!審査が甘いファクタリング会社の探し方

「今期も赤字決算になってしまった。銀行に追加融資を申し込んだが、色よい返事はもらえなかった…」
「急な出費が重なり、恥ずかしながら税金を滞納してしまった。どこからも資金調達できず、八方塞がりだ…」

はじめまして。元銀行員で、現在は資金繰りコンサルタントとして活動している湊 圭介(みなと けいすけ)と申します。

私はメガバンクに15年間勤務し、法人融資担当として数多くの中小企業経営者様と向き合ってきました。その中で、真面目に事業に取り組んでいるにもかかわらず、一時的な赤字や税金の滞納といった理由だけで、銀行の硬直的な審査基準によって融資を断られ、苦境に立たされる姿を何度も目の当たりにしてきました。

銀行の論理だけでは、本当に頑張っている経営者様を救えない。そんな想いから独立し、現在は融資以外の資金調達方法、特に「ファクタリング」の正しい活用法をお伝えしています。

この記事を読んでくださっているあなたも、今まさに同じような壁に直面し、先の見えない不安を感じているのではないでしょうか。

でも、どうか諦めないでください。赤字決算や税金滞納という状況でも、資金調達の道が完全に閉ざされたわけではありません。

この記事では、なぜそのような厳しい状況でもファクタリングなら資金調達の可能性があるのか、そして、あなたの会社に合った「本当に意味で審査が甘い」優良なファクタリング会社をどうやって見つければよいのか、元銀行員の視点から具体的かつ実践的な方法を徹底解説します。

この記事を読み終える頃には、きっと新たな希望の光が見えているはずです。

なぜ赤字決算・税金滞納でもファクタリングなら利用できるのか?

銀行融資を断られた経営者様が「ファクタリングなら大丈夫かもしれない」と聞いても、にわかには信じがたいかもしれません。まずは、なぜファクタリングが赤字や税金滞納といった状況に強いのか、その根本的な仕組みからご説明します。銀行融資との違いを理解することが、最初の重要な一歩です。

審査の主役は「自社」ではなく「売掛先」

これが最も大きな違いです。

  • 銀行融資の審査:銀行は「貸したお金をきちんと返済してくれるか」を審査します。そのため、申込企業であるあなたの会社の財務状況(決算書の内容)や返済能力が最も重要な審査対象となります。赤字決算や税金滞納は、返済能力に疑問符が付く大きなマイナス要因と見なされます。
  • ファクタリングの審査:ファクタリング会社は「売掛金が期日通りに支払われるか」を審査します。そのため、審査の主役はあなたの会社ではなく、売掛金の支払い元である「売掛先」の信用力なのです。

つまり、たとえあなたの会社が赤字決算であっても、売掛先が上場企業や官公庁、あるいは長年の取引実績がある優良企業であれば、ファクタリング会社は「この売掛金は問題なく回収できる」と判断し、買い取ってくれる可能性が高いのです。

「借金」ではなく「資産の売却」という仕組み

銀行融資は、ご存知の通り「借入金」であり、貸借対照表上では「負債」が増えます。

一方で、ファクタリングはあなたの会社が保有する「売掛債権(将来お金を受け取る権利)」という資産をファクタリング会社に売却(譲渡)する取引です。 これは、会社が持っている営業車や不動産を売却して現金を得るのと同じ「資産の現金化」です。

そのため、以下のようなメリットがあります。

  • 負債が増えない:借金ではないため、財務状況を悪化させません。
  • 信用情報に影響がない:融資ではないため、信用情報機関に記録が残ることもありません。今後の銀行融資に影響を与える心配も少ないと言えます。

この「資産の売却」という性質が、赤字決算の企業でも利用しやすい理由の一つです。

ただし「税金滞納」には注意が必要な理由

赤字決算には寛容なファクタリング会社も、税金滞納には少し慎重になる傾向があります。なぜなら、売掛債権が税務署に差し押さえられるリスクがあるからです。

国税徴収法では、税金を滞納している場合、国は滞納者の財産を差し押さえる強力な権限を持っています。そして、その差し押さえ対象には「売掛債権」も含まれるのです。

もしファクタリング会社が売掛債権を買い取った後に、その債権が税務署に差し押さえられてしまうと、ファクタリング会社は売掛金を回収できず、丸損してしまいます。

このリスクがあるため、ファクタリング会社によっては税金滞納を理由に審査が厳しくなったり、利用を断られたりするケースもあります。 しかし、諦めるのは早計です。税務署への相談状況などを踏まえて柔軟に対応してくれる会社も数多く存在します。

「審査が甘い」は危険なサイン?本当の意味を理解しよう

資金繰りに窮していると、「審査が甘い」「誰でもOK」といった甘い言葉にどうしても惹かれてしまうものです。しかし、ここで一度冷静になることが、失敗を避けるために非常に重要です。

「審査なし」「誰でもOK」は悪質業者の可能性大

結論から申し上げますと、「審査なし」を謳うファクタリング業者は100%悪質業者だと断言できます。

先ほどご説明した通り、ファクタリング会社は売掛先の信用力を審査することで、自社の回収不能リスクを判断しています。その審査を一切しないということは、ビジネスとして成り立ちません。

では、なぜ彼らは「審査なし」と言えるのでしょうか。そのカラクリは主に以下の2つです。

  1. 法外な手数料を設定している:リスクを度外視する代わりに、年利換算すると数百%にもなるような、あり得ない高額な手数料を請求します。これでは一時的に資金を手にしても、すぐに経営が破綻してしまいます。
  2. ファクタリングを装った違法な貸付(偽装ファクタリング):実態はヤミ金業者で、売掛債権の売買契約ではなく、売掛債権を担保にした高金利の貸付を行っています。 この場合、売掛先が倒産したら返済を迫られるなど、利用者にとって非常に不利な契約を結ばされる危険があります。

「審査が甘い」という言葉の裏に潜むリスクを、決して見過ごさないでください。

本当の「審査が甘い」とは?

では、私たちが目指すべき「審査が甘い」ファクタリング会社とは、どのような会社なのでしょうか。それは、審査基準が「柔軟」である会社のことです。

具体的には、以下のような特徴を持つ会社を指します。

求めるべき「審査の甘さ(柔軟性)」具体的な内容
審査対象の柔軟性赤字決算、税金滞納、債務超過、創業期といった厳しい財務状況でも、売掛先の信用力次第で相談に乗ってくれる。
手続きの柔軟性必要書類が比較的少ない(請求書と通帳のコピーなど)。 オンラインで申し込みから契約まで完結できる。
対象債権の柔軟性個人事業主やフリーランスも利用可能。 10万円程度の少額な売掛債権から対応してくれる。

このように、経営者の状況に寄り添い、門前払いするのではなく、多角的に可能性を探ってくれる。それこそが、私たちが探すべき「優良で審査が甘い」ファクタリング会社なのです。

【実践】審査が甘い優良ファクタリング会社の探し方5ステップ

ここからは、具体的にどのようにして自社に合った優良なファクタリング会社を見つけるか、5つのステップに分けて解説します。

ステップ1:自社の状況を整理する

まずは、ファクタリング会社に相談するための準備として、自社の状況を客観的に整理しましょう。以下のチェックリストを使って、情報を書き出してみてください。

チェック項目具体的な内容記入欄
希望調達額いくら資金が必要か?
売掛債権の情報売掛先の会社名、法人格の有無、取引開始時期、過去の入金遅延の有無
売掛金の金額ファクタリングを希望する売掛金の額面
入金予定日その売掛金が本来入金される予定日
財務状況直近の決算は赤字か黒字か? 債務超過の有無
税金の状況税金や社会保険料の滞納はあるか? ある場合、税務署への相談状況は?

この情報を整理しておくだけで、ファクタリング会社との話がスムーズに進み、より的確な提案を受けられるようになります。

ステップ2:「柔軟な対応」を公表している会社を探す

次に、インターネットでファクタリング会社を探します。その際、検索キーワードに「ファクタリング 赤字決算」「ファクタリング 税金滞納 相談」といった、自社の状況を示す言葉を加えてみましょう。

そして、各社の公式サイトで以下の点を確認します。

  • 「赤字決算でも利用可能」「税金滞納中でもご相談ください」といった記載があるか。
  • 「個人事業主・フリーランス歓迎」と明記されているか。
  • 買取可能額の下限が低く設定されているか(少額債権に対応しているか)。

これらの記載がある会社は、厳しい状況の事業者に対して門戸を開いている可能性が高いと言えます。

ステップ3:手数料の「相場」を知り、比較する

ファクタリングを利用する上で、手数料は最も重要な比較ポイントの一つです。契約形態によって手数料の相場が大きく異なるため、まずはその違いを理解しましょう。

契約形態手数料相場(2025年12月時点)特徴
2社間ファクタリング10% ~ 20%利用者とファクタリング会社の2社間で契約。売掛先に知られずに資金調達が可能。手続きが早く、即日入金も多い。ファクタリング会社の回収リスクが高いため、手数料は高め。
3社間ファクタリング1% ~ 9%利用者、ファクタリング会社、売掛先の3社間で契約。売掛先へ債権譲渡の通知・承諾が必要。ファクタリング会社の回収リスクが低いため、手数料は安い。資金化までに時間がかかる場合がある。

赤字決算や税金滞納の場合、ファクタリング会社のリスクが高まるため、手数料は相場の中でも高めに設定される傾向があります。

この相場を念頭に置き、見積もりを比較検討することが重要です。相場から著しく高い手数料を提示された場合は、その理由を明確に確認しましょう。

ステップ4:契約内容の重要ポイントを確認する

手数料だけでなく、契約書にサインする前に必ず確認すべき重要ないくつかのポイントがあります。

  • 償還請求権の有無
    必ず「償還請求権なし(ノンリコース)」の契約であることを確認してください。 償還請求権があると、万が一売掛先が倒産した場合、あなたがファクタリング会社に代金を支払う義務を負うことになります。これは実質的に融資と同じであり、ファクタリングの最大のメリットである「貸倒リスクの回避」ができません。
  • 債権譲渡登記の必要性
    特に2社間ファクタリングの場合、ファクタリング会社が権利を保全するために「債権譲渡登記」を条件とすることがあります。 登記は誰でも閲覧できるため、取引先に知られるリスクがあります。また、数万円の登記費用もかかります。登記が必須なのか、留保(原則不要)なのかは必ず確認しましょう。
  • 手数料以外の費用
    見積書に記載されている手数料以外に、印紙代、登記費用、交通費などの諸経費が別途請求されないか、費用の総額を事前に確認することが大切です。

ステップ5:必ず複数社に相見積もりを取る

最後に、最も重要なことです。相談や見積もりは、必ず3社以上から取得してください。

1社の話だけを鵜呑みにして契約してしまうと、もっと良い条件の会社を見逃したり、不利な条件で契約してしまったりするリスクがあります。

複数の会社と話すことで、

  • 手数料や条件を比較し、最も有利な会社を選べる。
  • 各社の担当者の対応や専門知識のレベルを見極められる。
  • 自社の状況でも問題なく利用できるという確信が持てる。

といったメリットがあります。手間を惜しまず、必ず相見積もりを取りましょう。

赤字・税金滞納の状況で審査通過率を上げる3つのコツ

厳しい状況だからこそ、少しでも審査に通りやすくなるための工夫をしたいものです。ここでは、元銀行員の視点から3つのコツをお伝えします。

コツ1:信用力の高い売掛債権を選ぶ

複数の売掛債権をお持ちの場合は、その中で最も「信用力の高い」ものを選んで申し込みましょう。

  • 取引実績が長い売掛先:新規の取引先よりも、長年にわたり安定して取引している売掛先の方が信用されます。
  • 支払い遅延がない売掛先:過去に一度も入金が遅れたことのない売掛先は、高く評価されます。
  • 経営が安定している売掛先:可能であれば、上場企業や官公庁、業界内で名の知れた優良企業との取引債権を提示するのが最も効果的です。

ファクタリングは売掛先の信用力が命です。最も自信のある売掛債権で勝負することが、審査通過への一番の近道です。

コツ2:必要書類を正確かつ迅速に準備する

審査をスムーズに進めるためには、必要書類を不備なく、スピーディーに提出することが不可欠です。一般的に求められる書類は以下の通りです。

  • 売掛債権の存在を証明する書類:請求書、発注書、納品書、契約書など
  • 入金履歴がわかる書類:対象となる売掛先からの入金が確認できる銀行通帳のコピー(直近3ヶ月~半年分)
  • 本人確認書類:代表者の運転免許証やパスポートなど
  • 会社の決算関連書類:決算書や確定申告書(直近2期分程度)

書類に不備があったり、提出が遅れたりすると、「管理体制がずさんな会社かもしれない」というマイナスの印象を与えかねません。誠実な姿勢を示すためにも、書類準備は丁寧に行いましょう。

コツ3:税務署への相談を並行して進める(滞納の場合)

もし税金を滞納してしまっている場合は、ファクタリング会社に申し込むと同時に、必ず管轄の税務署(または役所)に相談に行ってください。

「資金繰りが厳しく、すぐに全額は納付できないが、納税の意思はある。分割で納付させてほしい」といったように、誠実に相談することが重要です。税務署と分納計画などを立てていれば、すぐに財産を差し押さえられるリスクは大きく低下します。

そして、その事実をファクタリング会社に正直に伝えましょう。「税金を滞納しているが、放置しているわけではなく、税務署と話し合いを進めている」という姿勢は、あなたの誠実さを証明し、ファクタリング会社に安心感を与える材料になります。 決して滞納の事実を隠してはいけません。

まとめ

今回は、赤字決算や税金滞納という厳しい状況でも資金調達を諦めないための、ファクタリング活用法について解説しました。最後に、重要なポイントを振り返ります。

  • ファクタリングが使える理由:審査の主役は自社ではなく「売掛先」の信用力だから。借金ではなく「資産の売却」だから。
  • 「審査が甘い」の本当の意味:「審査なし」ではなく、赤字や税金滞納にも対応してくれる「審査が柔軟」な会社を選ぶことが重要。
  • 優良な会社の探し方:①自社の状況整理、②柔軟な会社探し、③手数料相場の把握、④契約内容の確認、⑤複数社への相見積もり、という5ステップを必ず踏むこと。
  • 審査通過率を上げるコツ:①信用力の高い売掛債権を選ぶ、②書類を正確・迅速に準備する、③(滞納の場合)税務署へ誠実に相談する、という3点を心がけること。

資金繰りの悩みは、経営者にとって本当に重く、孤独な戦いだと思います。かつて銀行員として多くの経営者様を見てきたからこそ、その苦しみは痛いほどわかります。

しかし、正しい知識を身につけ、一つひとつ行動を起こせば、必ず道は開けます。ファクタリングは、融資とは異なる視点であなたの会社を評価してくれる、強力な選択肢の一つです。

この記事が、あなたの会社の未来を切り拓くための一助となれば、これほど嬉しいことはありません。一人で抱え込まず、まずは第一歩を踏み出してみてください。

ファクタリング利用後の会計処理はどうする?仕訳方法を具体例で解説

こんにちは。
元銀行員の資金繰りコンサルタント、湊です。

急な資金需要に対応するため、ファクタリングを利用して売掛金を早期に現金化された経営者の方から、最近こんなご相談をよく受けます。

「無事に資金調達できたのは良いけれど、この後の経理処理はどうすればいいんだろう?」
「勘定科目は何を使えばいいのか、仕訳のやり方が全く分からない…」

確かに、ファクタリングは銀行融資とは異なる資金調達方法のため、その会計処理に戸惑うのは当然のことです。
しかし、ご安心ください。
ファクタリングの会計処理は、いくつかのポイントさえ押さえれば、決して難しいものではありません。

この記事では、メガバンクで多くの中小企業の財務を見てきた私が、ファクタリング利用後の会計処理と仕訳方法について、具体的な事例を交えながら分かりやすく解説します。
この記事を読み終える頃には、あなたの会計処理に関する不安は解消されているはずです。

ファクタリング会計処理の基本|押さえるべき3つの勘定科目

まず、ファクタリングの仕訳を理解するために、基本となる3つの「勘定科目」を押さえましょう。
勘定科目とは、お金の動きを帳簿に記録する際の「見出し」のようなものです。

① 売掛金:すべての取引の起点

これはお馴染みの勘定科目ですね。
商品やサービスを提供し、後日代金を受け取る権利、つまり「売掛債権」を管理するための科目です。
ファクタリングは、この「売掛金」を譲渡(売却)することから始まります。

② 売上債権譲渡損:ファクタリング手数料の処理

ファクタリングを利用する際に発生する手数料は、会計上「売上債権譲渡損」という営業外費用の勘定科目で処理するのが一般的です。

「売掛金という債権を、額面より安い価格で売却したために生じた損失」と考えるとイメージしやすいでしょう。
会計ソフトによってはこの科目が無い場合もあり、その際は「支払手数料」や「雑損失」で代用することも可能です。

③ 未収入金:契約から入金までの「仮の姿」

ファクタリング会社と契約してから、実際に代金が振り込まれるまでには、通常少し時間がかかります。
この「譲渡は決まったけれど、まだ入金されていない売掛金」を管理するために使うのが「未収入金」です。

「売掛金」が「未収入金」という別の資産に姿を変えた、と考えると分かりやすいかもしれません。

【具体例】2社間ファクタリングの仕訳方法を5ステップで解説

では、最も利用されることの多い「2社間ファクタリング」を例に、具体的な仕訳の流れを見ていきましょう。
ステップごとに追いかけていけば、全体の流れがスムーズに理解できます。

モデルケース:100万円の売掛金を、手数料10万円でファクタリング

  • 売掛先A社に対する売掛金: 100万円
  • ファクタリング会社との契約: 2社間ファクタリング
  • 手数料: 10万円(10%)
  • 受取額: 90万円

ステップ1:売掛金の発生

まず、取引先に商品やサービスを提供し、売上が立った時点の仕訳です。これは通常の取引と全く同じです。

借方貸方
売掛金 1,000,000円売上 1,000,000円

ステップ2:ファクタリング契約の締結

次に、ファクタリング会社と契約し、売掛金を譲渡した時点です。
この段階ではまだ入金がないため、「売掛金」を「未収入金」に振り替えます。

借方貸方
未収入金 1,000,000円売掛金 1,000,000円

この仕訳によって、帳簿上「A社への売掛金」は消え、「ファクタリング会社から入金される権利(未収入金)」に変わったことになります。

ステップ3:ファクタリング会社からの入金

契約後、ファクタリング会社から手数料が差し引かれた金額が入金されます。
ここで、手数料を「売上債権譲渡損」として計上します。

借方貸方
普通預金 900,000円未収入金 1,000,000円
売上債権譲渡損 100,000円

これで、ステップ2で計上した「未収入金」が消え、手元の普通預金が90万円増え、費用として10万円が計上されたことになります。

ステップ4:売掛先からの入金

2社間ファクタリングの場合、売掛先からは通常通りあなたの会社の口座に売掛金が入金されます。
この入金された100万円は、ファクタリング会社に送金するための一時的な「預かり金」です。

借方貸方
普通預金 1,000,000円未払金 1,000,000円

※ここでは「未払金」を使いましたが、「預り金」で処理する場合もあります。 重要なのは、この入金が自社の売上ではないことを明確に区別することです。

ステップ5:ファクタリング会社への送金

最後に、売掛先から入金された100万円をファクタリング会社へ送金します。
これで一連の取引は完了です。

借方貸方
未払金 1,000,000円普通預金 1,000,000円

ステップ4で計上した「未払金」が消え、預かっていたお金を送金したことで、預金の残高も元に戻ります。

【具体例】3社間ファクタリングの仕訳方法|2社間との違いは?

次に、手数料が安い傾向にある「3社間ファクタリング」の仕訳を見ていきましょう。
基本的な考え方は2社間と同じですが、プロセスがよりシンプルになるのが特徴です。

モデルケース:100万円の売掛金を、手数料3万円でファクタリング

  • 売掛先A社に対する売掛金: 100万円
  • ファクタリング会社との契約: 3社間ファクタリング(売掛先の承諾あり)
  • 手数料: 3万円(3%)
  • 受取額: 97万円

ステップ1~3:契約から入金までの流れ

売掛金の発生からファクタリング会社からの入金までの流れは、2社間と全く同じです。
手数料の金額が変わるだけですね。

【ステップ1:売掛金の発生】

借方貸方
売掛金 1,000,000円売上 1,000,000円

【ステップ2:ファクタリング契約の締結】

借方貸方
未収入金 1,000,000円売掛金 1,000,000円

【ステップ3:ファクタリング会社からの入金】

借方貸方
普通預金 970,000円未収入金 1,000,000円
売上債権譲渡損 30,000円

2社間との決定的な違い:売掛金の回収プロセス

ここが2社間と3社間の大きな違いです。
3社間ファクタリングでは、売掛先は「債権がファクタリング会社に譲渡された」ことを承諾しているため、支払期日になると、売掛先からファクタリング会社へ直接支払いが行われます。

そのため、あなたの会社は売掛金の回収と送金に関与する必要がありません。
つまり、2社間ファクタリングのステップ4と5の仕訳は不要ということです。
経理処理がシンプルになるのは、3社間ファクタリングの隠れたメリットと言えるでしょう。

ファクタリング会計処理の気になる疑問Q&A

最後に、経営者の皆様からよくいただく質問について、Q&A形式でお答えします。

Q1. ファクタリング手数料に消費税はかかりますか?

A1. いいえ、かかりません。

ファクタリングは、売掛債権という「金銭債権」の譲渡にあたります。
金銭債権の譲渡は、土地の譲渡や有価証券の譲渡などと同じく、消費税法上「非課税取引」と定められています。
したがって、ファクタリング会社に支払う手数料に消費税は課されず、仕訳の際に消費税を考慮する必要はありません。

ただし、債権譲渡登記にかかる司法書士報酬など、一部の付随費用には消費税がかかる場合がありますのでご注意ください。

Q2. 手数料の勘定科目は「支払手数料」ではダメですか?

A2. 会計処理の一貫性があれば問題ありませんが、「売上債権譲渡損」がより適切です。

「支払手数料」は、販売手数料や振込手数料など、営業活動に伴って発生する費用に使われるのが一般的です。
一方、ファクタリング手数料は金融取引に近い性質を持つため、営業外費用である「売上債権譲渡損」で処理する方が、会社の財務状況をより正確に表すことができます。

ただし、会社の経理ルールや使用している会計ソフトの仕様で「売上債権譲渡損」が使えない場合は、「支払手数料」や「雑損失」で処理しても税務上は問題ありません。
大切なのは、一度決めた勘定科目を継続して使用し、処理に一貫性を持たせることです。

Q3. 契約と入金が同日だった場合の仕訳は?

A3. 「未収入金」を省略して、直接仕訳することができます。

いわゆる「即日ファクタリング」などで契約と入金が同日に行われた場合、わざわざ「未収入金」を計上する必要はありません。
その場合は、以下のように1つの仕訳にまとめることができ、処理がより簡単になります。

借方貸方
普通預金 900,000円売掛金 1,000,000円
売上債権譲渡損 100,000円

Q4. ファクタリングは決算書にどう影響しますか?

A4. 負債を増やさずに資産をスリム化し、財務指標が改善する可能性があります。

ファクタリングは借入ではないため、貸借対照表の「負債の部」は増えません。
むしろ、資産である「売掛金」が減少し、同じく資産である「現金預金」が増えるため、資産構成がスリムになります。 これを「オフバランス化」と呼びます。

これにより、以下のような財務指標が改善する効果が期待できます。

  • 総資産利益率(ROA)の改善: 総資産が圧縮されることで、利益率が向上して見えます。
  • 自己資本比率の改善: 負債が増えずに総資産が減少するため、相対的に自己資本比率が高まります。

銀行は融資審査の際にこれらの指標を重視します。
つまり、適切にファクタリングを活用することは、将来の銀行融資に向けた財務体質の改善にも繋がる可能性があるのです。

まとめ:正しい会計処理でファクタリングを健全な資金繰りに

今回は、ファクタリング利用後の会計処理と仕訳方法について解説しました。
最後に、重要なポイントを振り返りましょう。

  • 基本の勘定科目: 「売掛金」「売上債権譲渡損」「未収入金」の3つを理解する。
  • 2社間と3社間の違い: 2社間は「売掛金の回収・送金」のプロセスが加わる。3社間は経理処理がシンプル。
  • 手数料は非課税: ファクタリングは金銭債権の譲渡なので、手数料に消費税はかからない。
  • 決算書への影響: 負債を増やさず、財務指標を改善させる効果(オフバランス化)が期待できる。

ファクタリングは、急な資金ニーズに応えてくれる非常に有効な手段です。
しかし、その後の会計処理を正しく行わなければ、会社の財務状況を正確に把握できなくなってしまいます。

もし、この記事を読んでもご自身のケースでの処理に不安が残る場合は、決して一人で抱え込まず、顧問税理士や我々のような資金繰りの専門家にご相談ください。
正しい知識を身につけ、ファクタリングをあなたの会社の力強い味方にしていきましょう。